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ペット喜怒哀楽

武士の家計簿

武士の家計簿
書名 : 武士の家計簿
著者 : 磯田道史
出版社 : 新潮新書005 2005.4.10 24版 223ページ \724

感想 ; みみずくさんご推薦の本。読みながら、うんうん、みみずくさん、こういうのお好きだろうなぁ、なんて納得しながら読んでいました。

冒頭のはしがきで、著者が目録でみつけた資料に気付いて、あわてて銀行に行き古書店に向かう...なんだかすごぉくわかる感じだったので...
余計に本編が面白くなる...他人にはなぜ?と思うようなことでも、その人にとってはとっても面白くてのめりこめる物、それに出会った著者の感覚が伝わってくる。

加賀百万石の代々経理担当猪山家が、藩よりもたいへんな自分の家の家計のやりくりをつづっている、というか、家計簿から読み取っていった著者。

親類同士での貸し借りが多かった...だから縁組みする時には同格の相手を探す...なぁるほど。単純に差別しているわけではないんだ...妙に納得。

知行地の百姓から借りる。百姓にしてみれば、借金を返済してくれなけりゃ、年貢を抑えられる...案外百姓強い!

この武士と百姓の関係...西洋文明諸国の領主と農奴なんかとの違い...面白い。やはり、日本は欧米流資本主義経済システムを取り入れるべきではなかったのかも。
江戸時代に一揆は数多かったけれども、革命は起きなかった... 「権力、威信、経済力が一手に握られない状態」だから「身分制的秩序をこわす芳香に作用した」のか「江戸時代の社会を安定させていた」のか。

著者はEXCELで家計簿を再構築した...なぁるほど。これ、面白かっただろうなぁ。現代感覚で見られる。

赤字解消のために、家財を売る。とことん売る。着物が売れる、書物が売れる。(いいなぁ、我が家の書物、大量にあるけれど、売ったってたかが知れている...
そして、和服...昔もやっぱり高かった...高い物をいくつも持っていた...なんか不思議な感覚、けど→)
女性は結婚しても、実家から手当を貰っていた。結構夫から独立して財産を持っていた。死別、離婚が可能な状況。「貞婦は二夫にまみえずなどというのは全くの嘘である」あはは。

交際費が多い。神仏、親戚、儀式、親類同僚とのやりとり...武士としての対面を保つための費用...たいへんだわぁ。

そして明治維新...会計士みたいな技術を持っていたから、生き延びられた一族。




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